突発性難聴の治療成績

 治療法についてはステロイドについては明らかな有効性が認められていますが、その他についてはその有効性についてははっきりしていないのです。

 

 患者さんの背景や、聴力の形、年齢などが多岐にわたり、同じ集団同士の比較が難しいことや、それそれの治療が単独で行われることはなく、通常組み合わせて行われるため、統計学的に比較が難しいことも背景にあると思います。

 

 少しでも聴力を治してあげたいとの気持ちで、私も多くのお薬の組み合わせと、高気圧酸素療法、星状神経節ブロックなどの治療を組み合わせてやってきましたが、残念ながら改善率(部分的もしくは完全に治る割合)は全体で72%です。多くの報告もこの辺りの数値です。

 30%近くの方が治らず、また聴力が戻っても耳鳴りや、耳のふさがった感じが残ってしまう方も多くおられます。

 

 まずは2ヶ月間経過を診ますが、改善の見込みがありそうな場合、6ヶ月程度まで治療を行うこともあります。私はステロイドを最後まで減らし切ると、柴苓湯という漢方薬をビタミン剤や循環改善剤と一緒に使っています。

 

 非常に回復の見込みが低い聾型の方でも、低い音を中心に部分的にゆっくり回復してこられる方も多いのです。

 

 次の項で経験例をお示しします