治療成績の実際

  最も大切なのは、できるだけ早く治療を開始することです。可能であれば発症後1週間以内の治療が望ましいと思います。 

 図は私の経験例の一部の統計ですが、3週間経つと治癒(ほぼ完全に治る)例がほとんどなくなっています。教科書的にも3週間経つと聴力が固定するとの記載も見られます。

 ただ治療を開始すれば、実際はもっと長期間(2ー6ヶ月)の治療で完全にまではいかないものの、ゆっくり部分的に改善してくる例もあります。

突発性難聴 治療 日数 
発症後3週間を越すと治癒がぐっと減ります

 残念ながらその原因は未だはっきりしたものはありません。しかし治療中は、ストレスや大きな音を聞くことはできるだけ避けた方がいいと言われます。

 

   また糖尿病や、緑内障、ワーファリン使用中の方などは、治療に用いるステロイドの為に、病状が悪化したり、お薬の作用が強くなることがあります。特に糖尿病の方で、HbA1c(最近の血糖値を反映する数値)が高い方は、外来での治療が難しい場合があります。その場合は血糖のコントロールを、入院の上、行いながら治療を行います。

 

 できるだけ早く治療に取り組んでいただき、病状に合わせて治療法を検討していくことが大切だと思います。