扁桃周囲炎、扁桃周囲膿瘍

 通常の扁桃炎がひどくなり扁桃の周りまで炎症が広がったものを扁桃周囲炎、さらにそこに膿が溜まったものを扁桃周囲膿瘍と呼びます。

 

 扁桃は被膜と呼ばれる膜で覆われており、通常は、これを超えた炎症を起こすことはありません。しかし、タバコの本数が多い方や、糖尿病、免疫抑制剤の服用など、口の中の免疫力が落ちやすい原因をもつ方は、扁桃炎が悪化しやすくなります。

 


 右の扁桃周囲炎です。扁桃とその周りが赤くなっていますが、腫れていません。43歳の男性ですが、たばこも吸われず、糖尿病その他の基礎疾患もありませんでした。こうした軽症の方は数日の点滴だけで改善します。


 22歳の男性です。
 左側側の扁桃の周りが広範囲に腫れており、元々の扁桃の形がわからないほどになってす。

 

  この方は扁桃の下方まで炎症が広がっており、飲み込みができず、喉頭の周りに唾液が貯留しています。


 治療としては、抗生剤、腫脹を軽減させるステロイドなどを点滴します。炎症が強い方や、食事ができないような方は、入院が必要となります。

 状態によっては、腫れているところを切開し、膿を出します。

 

 あまり写りがよくありませんが、左側の扁桃周囲膿瘍の切開後の様子です。白い膿が大量に出てきました。



扁桃周囲膿瘍

 左側の扁桃周囲膿瘍のCT画像です。左側の扁桃が大きく腫れ、その外側に膿がたまっているのがわかります。

 

 炎症が広がると、周囲の筋肉まで侵され、口が開けにくくなったりすることもあります。 

 

 稀に菌が頸や胸の方まで広がり、頚部膿瘍縦隔洞炎など重症化することもあります。呼吸困難や敗血症など、命に関わる状態まで悪化することもありますので、注意が必要です。緊急手術で、頚の外側から切開し、膿を出す手術をすることもあります。