好酸球性副鼻腔炎

 喘息の患者さんの多くに慢性副鼻腔炎が合併するといわれます。そのような副鼻腔炎は頭痛や鼻づまりのような症状はもちろんですが匂いがしない、しにくいといったにおいの障害を訴えられる方が多いのが特徴です。


鼻詰まりと嗅覚低下が特徴

 鼻ポリープ(鼻茸)がいくつもお鼻の中に出来、匂いを感じる嗅裂や嗅神経が塞がってしまうために起こります。

  嗅覚障害がひどい場合、内服ステロイドでポリープの縮小を図ることもあります。

 喘息患者さんに起こりやすい、このような通常と違った副鼻腔炎は好酸球性副鼻腔炎と呼ばれます。

 前述したように

 喘息を合併していることが多い

 匂いの障害が症状として強い

 副鼻腔炎の手術を受けても、すぐにポリープなどが再発してしまう。

 治りにくい中耳炎(好酸球性中耳炎)を一緒に起こすことがある

 が特徴です。


中耳炎や特殊な喘息の合併もあります

   お鼻の中を観察すると、房状のものも含めて、多数のポリープが認められます。ポリープの中には多数の好酸球が認められます。血液の白血球の中の好酸球が非常に多くなっています。写真はこの病気の方の鼻茸の組織ですが、赤い色の好酸球が多数見られています。

     診断のためにCT検査も役立ちます。 好酸球性副鼻腔炎は、目の間の篩骨洞に強い炎症が起こりやすいと言われます。

   写真は好酸球性副鼻腔炎の手術で取ったポリープの組織像です。非常にたくさんの赤く染まった好酸球が、組織中に浸潤しています。

         

   また副鼻腔炎が進行すると、好酸球性中耳炎を合併することもあります。 

 好酸球性中耳炎は子供さんがかかる滲出性中耳炎に似て、鼓膜の内側に滲出液がたまります。しかしその液がかなり粘調なことで、聞こえが悪くなりやすく、また次第に聞こえの神経も障害を受け、難聴が回復できなくなる難治性の中耳炎です。 

   また痛み止めを飲むと喘息発作がおこるアスピリン喘息であることもあります。


 

難治性の副鼻腔炎です〜難病指定にもなっています

  好酸球性副鼻腔炎の治療は、内服あるいは吸入ステロイドを中心に、抗ヒスタミン剤や
喘息でも用いる抗ロイコトリエン薬を用います。

 鼻洗浄も非常に有効と言われています。特に、手術を行った場合は、術後に、鼻洗浄を行うことが大切です。

 

  薬での保存的治療での改善が見込めない場合、ポリープや粘膜を除去する手術を行います。しかし手術を行っても、しばらくするとまたポリープが再発し副鼻腔炎が悪化してしまう事もあります。福井大学の藤枝先生のグループは、約半数が5年以内にポリープが再発したと報告されています。

 

   写真は、再発したお鼻のポリープに対して、内服ステロイドを使った前後の写真です。ステロイドが非常によく効いています。

 しかし、ステロイドを中止すると、再度ポリープが大きくなることもあり、治療に何十することもあります。

 副作用の点から、内服ステロイドはできるだけ少量、短期間の使用とし、吸入ステロイド(血中に入る量が少ないため、副作用が少ない)を維持に用います。 

 その治療の難しさから平成27年からは難病指定になっています。医療費に対して公的扶助が受けられます。