扁桃病巣感染症(IgA腎症、掌蹠膿疱症など)

 慢性扁桃炎と関連していると言われるいくつかの病気があります。扁桃炎を扁桃病巣感染症と言います。

 

 慢性腎炎(代表的なものにIgA腎症や慢性糸球体腎炎などがあります)や掌蹠膿疱症という皮膚の病気、あるいは最近は少ないですが若年性関節リウマチなどが、慢性扁桃炎が原因で起こることがあると言われています。

 

 50年以上、いろいろ研究されていますが、今だにその発症のメカニズムははっきりしたものはわかっていません。いずれの病気も、治療に苦労するケースが多いことや、腎炎については、扁桃摘出術とステロイド治療との組み合わせの治療効果が高いという報告がされており、扁桃摘出術を勧められるケースも多いかと思います。

 

 しかし、効果が出るのが術後2ヶ月~長い人では2年ほどかかること、手術の効果の予測が難しい、また例えばIgA腎症で有効率が80%程度など、扁桃を取ればかならず治るというわけではないため、手術を受ける前によく理解されることが必要です。


 扁桃病巣感染症に関連する病気として有名なものの一つの、掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)です。

 

 手や足の柔らかい面を中心に指先まで皮膚が剥げてきます。若い人にも多く、人前では手袋をしている方も少なくありません。見た目だけでなく、皮膚が持つバリアとしての働きがなくなるため、細菌や、ウィルスなどの感染症にかかりやすくなります。

 

 扁桃がウィルス感染などで障害を受けると、扁桃上皮に対する抗体(自己抗体)ができやすくなり、これが血液経由で手や足に移動し、正常皮膚に働くことで炎症がおこるという説が挙げられていますが、はっきりしたメカニズムはまだわかっていません。

 

 決定的な治療法も無いため、比較的早期に扁桃摘出を薦められるケースも多いようです。