鼻洗浄はお鼻の病気に有効

アレルギー性鼻炎、慢性副鼻腔炎の症状をやわらげます

 アレルギー性鼻炎や、慢性副鼻腔炎の治療の一つとして、鼻洗浄(鼻洗い、鼻うがい)は有効な方法です。

お鼻の中のほこりや花粉を落としたり、お鼻の中に繁殖している細菌などを洗い落とすことで、お鼻の炎症を軽減させることができます。

 

 以前からクリニックでの処置として行われていましたが、最近はご自宅でされる方が多くなって来ました。但し、やり方を間違えるとお鼻の粘膜への刺激で痛みを感じたり、中耳炎を起こしてしまうこともあります。小さいお子さんにはとりわけ注意が必要です

 

鼻洗浄の準備

鼻洗浄 鼻うがい用エネマシリンジ 

 まず準備するものですが、鼻洗浄器が必要です。

 以前からあるものにエネマシリンジがあります。

 片一方を洗浄水につけ、もう一方をお鼻の穴にあてて使います。膨らんだところを握って、洗浄水をお鼻に送り込みます。

 お値段は3500円程度です。

 

 水を送るのに少し力がいることと、ゴム製なので次第に硬くなり、耐久性も半年くらいです。

 また、洗浄水をご自分で用意する必要があります。洗浄水は基本的には食塩水です。温度も冷たいと粘膜に刺激があり、痛みを感じることがあります。

 微温湯とよくいいますが、体温と同じくらいか、少し高めの温度が良いです。

 

鼻洗浄 鼻うがい用 洗浄器

 鼻洗浄の専用器具も販売されています。右のようなボトルタイプや、ポンプタイプのものがあります。比較的力の弱い高齢者の方にもお使いいただけます。お値段は4000円から9000円程度です。

 

 市販の専用洗浄器には、専用の洗浄液を作るための粉末剤が着いていたり、お水の温度がわかりやすいように温度モニターが着いているものもあります。耐久性については、ポンプ型であれば比較的長期間使うことができます

洗浄水の用意

  洗浄水は前述したようにエネマシリンジを使われる場合自作しなくてはなりません。食塩水を使いますが、濃度としては体液の浸透圧に近い生理食塩水の濃度、つまり0.9%くらいの濃度が良いです。水道水は添加物があるので、一旦煮沸して冷ましたお水を使うのが良いです。ミネラルウォーターもいいですが軟水のものがいいかと思います。


  1リットルあたり9gのお塩を加えれば0.9%になります。衛生上の問題から作り置きはせず、毎回作られた方がいいかと思います。容器はミネラルウォーターのペットボトルを使うと手軽ですが、できるだけ長く使い回しはせず、鼻洗浄の後は内部をよく洗って、乾燥させるようにしてください。


 生理食塩水自体は、薬局でも手に入ることがありますので、それを使っていただいても結構です。市販の洗浄器の場合は、専用の水に溶かす洗浄剤が用意されていますのでそれを用います。

   1回の使用量は、やり方にもありますが、片方につき200-300mlというところでしょう。

   温度は先に述べたように、体温か、それより少し高めが良いです。38度前後がいいでしょう。

実際の方法

 ちょっと怖いかもしれませんが、注意を守ってやれば大丈夫です。

 洗浄器の先端を洗いたい側のお鼻の穴に当てます。軽く下を向く姿勢を取り、「えー」とか「あー」とか声を2ー3秒出してみます。次にその声に合わせて洗浄器やポンプを押して水をお鼻に送り込みます。声を出しながら行うのは、喉の方にお水が流れ込むのを防ぐためです。

 

 お水は以下のどちらかの方法で出てきます。

1 口から流れて出てくる

2 反対側のお鼻から出てくる

どちらの出方でも大丈夫です。

鼻洗浄はどのくらいの頻度で行うのが良いか

 大体1日もしくは2日に1回が標準とおもいます。副鼻腔炎の手術後には1日2回行っていただいています。

 

 花粉症の方は、外出後にされると、お鼻の中の花粉が洗い落とされ効果的です。

 

 ただし、鼻洗浄をあまり熱心にされると、お鼻の粘膜を保護し感染を予防する粘液層まで洗い落としてしまい、細菌やカビなどの感染が起こりやすくなったり、お鼻の乾燥を招き、かえってかさぶたなどがつきやすくなったりすると言われています。適度に行うことも大切です。

 

  あまり小さいお子さんにはこの治療はおすすめしません。お鼻とお耳はつながっていますから、稀に中耳炎を多してしまうこともあります。自分でできる小学生くらいからが良いと考えます。