鼻腔とならんで、耳も、小さい子がものを詰めてしまいがちです。
詰めるものとしては、丸いものが中心となり、お鼻の様に複雑な形はあまりありません。また豆などの食物より、プラスチックの玩具などが多いようです。大人も含め、小さい虫など生物が入り込むこともあるのが、鼻腔異物との大きな違いです
丸いものはつかみにくく、摘出が難しい場合もあります。無理にとろうとすると奥へ入り込んでしまい、ますます取れなくなってしまいます。
またお耳の中に傷がついてしまう事もありますから、無理をせず、耳鼻咽喉科を受診されてください。
下は、7歳の男の子の左耳に入ったBB弾(モデルガンの弾)を、お家の方が耳かきで取ろうとしたものの、出血してきたため、夜間に受診されました。
無理をされたため、出血と、外耳道(鼓膜の手前の部分)が腫れあがってしまっています。異物は無事取れましたが、しばらくの間、この炎症を取るための治療が必要でした。
鼻腔異物と違い、外耳道異物は緊急性はありません。
深夜にわざわざ病院に出向かれる必要はありません。
鼻の中の異物は、ひょんな拍子で吸い込んでしまい、喉や気管の中に入ってしまう事もあります。しかし、外耳道異物ではそのような危険はありません。
右の写真は右耳に入ったビーズです。向こう側に鼓膜が見えてます。ここでたいてい止まっており、それ以上奥には行きません。夜間に起こっても、次の日の受診で大丈夫です。
ただし痛みを訴える場合は別です。
かなり奥にはいると、鼓膜に異物が当たって痛みを感じます。鼓膜の感覚は非常に鋭いので、痛みはかなり強いことがあります。
特に、虫が入った場合は、虫が中で動くと、尋常でない痛みを感じます。
痛いとき時は、痛み止めや坐薬をお持ちなら、それを使っていただいても結構です。
小さい虫であれば、耳の中で反転して出てくる事もあるので、お部屋を暗くして、懐中電灯で耳の外側を照らしてみるのはいい方法です。
虫を殺そうとしてお水を入れると、かえって暴れ出して痛みが増す場合もあります。
こういう場合は、早目に病院を受診されるのが良いと思います。病院ではお薬を使って虫を殺してから、丁寧に取り除きます。
お鼻の異物と同じで、小さい部品などを床や畳、机の上に置きっぱなしにしない様、気をつけてあげるのが大人の責任と思います。子供さんは悪くないといつも思います。
大人の方ですが、ご自分で綿をマッチ棒に巻いた、お手製の綿棒でお掃除をされる習慣があったそうです。
最近、音を聞いたとき、ガサガサ変な音がすると言われ、来院されました。
鼓膜のすぐ手前に、綿棒の先の綿が外れて残っていました。音を聞いた時、鼓膜が震えて、接触した綿がこすれて音がしていたのでしょう。