舌の裏から口の底の粘膜の下に半透明の袋ができることがあります。
大きいものでは2-3Cmくらいまで大きくなります。
上の写真が典型的な例ですが、「がま腫」といいます。がまがえるがのどをふくらませた状態に似ていることから名付けえられています。ラヌラとも呼ばれます。
唾液を作る唾液腺には耳下腺、舌下腺、顎下腺がありますが、それぞれ、口の中へ続く管(唾液管)を持っています。がま腫は顎下腺や、舌下腺からの唾液管に起こります。
唾液管の一部の流れが悪くなったり、機械的な刺激が加わった場合、とくに唾液管の壁がもともと弱かったりするとおこります。
唾液の一部が唾液管の外に漏れ、周りに薄い壁を作った袋を作ります。
多くは、口の中だけにできます。しかし、口の底の筋肉の下、顎の奥にまで袋が入り込んでいる大きながま腫もあります。
顎下腺や舌下腺からの唾液管は、口の底の筋肉を通って口の中に入ってくるからです。時には筋肉をはさみ、口の中と顎の下の両方にまたがってできることもあります。「だるま」のような形をしたがま腫もあります。
多くは痛みはありませんが、時に鈍い痛みを伴うことかあります。何より袋が大きいと、食べるときにじゃまになって気になります。
また舌が回りにくいので、言葉が話しにくいこともあります。
顎の下にできた腫瘤では、一旦腫れると自然に小さくなることはまずないため、美容上、気になるかたもおられます。
口の中にはあまりできず、顎の下に袋ができていることもあります。写真の方は左の顎下腺の周りにがま腫ができていたケースです。柔らかい袋が顎の下にできています。
側頸嚢胞や、血管腫などの病気と鑑別する必要があります。
舌の裏にできているものは、見た目でがま腫と診断できます。
ただし、摘出を考える上で、広がっている範囲を調べることは非常に大切です。そのため、CTやMRIによる検査を行うことが一般的です。特にMRIはコントラストもはっきりしており、周囲の筋肉との関係もわかりやすいため有用です。
顎の下や、首にできているがま腫の場合、超音波検査も大事な検査です。
一番上の写真の、舌の裏にできたがま腫の患者さんのMRI検査です。舌を上げると突出して見えますが、舌の裏、口の底の比較的深いところまで袋があります。しかし形がまとまっており、手術になっても取りやすい形といえます。
治療は手術が主体でしたが、最近は注射を行う治療も一部のがま腫に対して行われています。