扁桃の片方が大きい時は要注意-扁桃の腫瘍-

 扁桃(腺)が赤くなっていたくなることはよくあります。ただし片方だけが痛かったり、赤く大きく腫れていたりすることが長く続く場合は、注意が必要です。勿論、たばこを飲まれる方や、扁桃をよく腫らす方はおられます。ただ1ヶ月も同じ側の痛みが続くというのは、やはり変だと考えるべきです。痛みがなくとも違和感だけのこともあります。
 扁桃にもがんが出来ます。(扁桃がん)また、悪性リンパ腫という血液の病気も起こることがあります。


症状

前述したように、長期間(目安ですが2ー3週以上)片方の扁桃が痛い場合は注意が必要です。痛みがなくても、扁桃の片方が大きい場合もやはり要注意です。


口の中を見る
 指で触ってみて、片方の扁桃が他方に比べ硬い感じがする場合は、腫瘍の可能性があります。病院で診てもらうことをおすすめします。
 柔らかく感じても、他方に比べ、片方が明らかに大きい場合、悪性リンパ腫などの可能性があります。ただし、健康な人でも、炎症を繰り返した結果、片方が大きくなる方もおられますので、過剰な心配はしないでください。


扁桃が片方だけ腫れている

 左の扁桃腺が腫れているとのことで、来院された方です。触ると柔らかいのですが、右側に比べ腫れています。

 組織検査では悪性リンパ腫の結果でした。

鏡で見る
 扁桃にはよくがつきますが、片方だけに白い膿が付いている場合、そして痛みが続く場合も注意が必要です。通常、炎症の場合、両方に同じように膿がつくことが多いのです。

 片方だけに膿が付いている場合、その奥に何か病変が隠れていることがあります。腫瘍があると、局所の免疫力が低下することが考えられ、その結果、膿がつきやすくなるのではないかと思います。


 右側の扁桃がんの患者さんです。喉がいたいとのことで扁桃炎として治療を受けて来られましたが、治りにくいとのことで受診されました。右側の扁桃が片方だけ腫れています。更に白い膿(膿栓)が右側だけに多くついています。こういう扁桃は要注意です。

首を触る
 くびにしこりが出来ていませんか?硬い感じのしこりがある場合は、がんなどの腫瘍も否定できませんから、早めに耳鼻咽喉科で診てもらうことをおすすめします。


   柔らかいしこりは、リンパ腫による腫れを疑います。


   通常の扁桃炎でも、炎症が強い場合は、くびのしこり(リンパ節の腫れ)はよく見られます。ただし、通常より大きい物や、いくつも重なるように腫れている場合は、悪性の病気の可能性を疑う必要があります。

 両側のくびのしこりで紹介されました。写真は右側のくびのリンパ節の腫れですが、左側の扁桃が大きくなっています。扁桃からの組織検査で、悪性リンパ腫と診断されました。

検査

 扁桃の腫瘍が疑われた場合は、少し組織をとって調べる生検を行います。CTMRIなどの画像検査で扁桃の奥の部分への広がりがないかを確認します。超音波検査でくびのリンパ節の腫れがないかを調べます。
 リンパ腫が疑われた場合、全身の病変の広がりを調べるために、最近はPET-CTを行うことが多くなっています。その他CTや超音波検査でお腹や胸のリンパ節が腫れていないかを調べます。胃カメラを行うこともあります。
 

治療

 扁桃のがんは、タバコや強いアルコールを飲む方に多く見られますが、そうでない方でも(例えば女性でも)見られます。

 扁桃がんに限らず、咽頭のがんの発症に、パピローマウィルスというウィルスの関与が疑われています。これは女性の子宮頚がんの原因として有名です。ウィルスの中でタイプがいろいろあります。
 保険診療では限度があるのですが、扁桃がんの組織を使って、パピローマウィルスのDNAが存在するかを調べることがあります。陽性であれば、放射線や化学療法の効果が高いと言われます。


 パピローマウィルスの有無に限らず、扁桃がんは、放射線化学療法が効果があるため、多くはこの2つを中心に、手術を必要に応じて組み合わせる治療がされています。

 手術は扁桃摘出や、くびのリンパ節の郭清が中心ですが、周囲に広がった扁桃がんの場合、その切除範囲が大きくなり、とった場所を縫い合わせることができないこともあります。胸や腕の筋肉や皮膚を使った、皮弁による再建手術が必要になることもあります。


 悪性リンパ腫の場合、リンパ腫のタイプや進行度により治療法が異なりますが、血液の病気の一種で、全身の治療が必要であることから、抗がん剤による化学療法が中心となります。最近は分子標的薬というお薬もよく使われます。

 全身の病変がなく、扁桃だけに限局している場合で、悪性度の低いリンパ腫の場合、放射線治療や、扁桃をとる手術を行うこともあります。

 

 扁桃炎として1ヶ月以上も治療され、治りにくいからといって受診された患者さんが、扁桃がんやリンパ腫だった例を何度も経験しています。
 なかなか治らない、片側だけの扁桃炎やのどの違和感の場合、簡単に考えず耳鼻咽喉科への受診を考えてみられてください。