急性扁桃炎

扁桃炎は急性扁桃炎と慢性扁桃炎に分けることができます。

 

 急性扁桃炎は文字通り、風邪の時に喉が痛くなり、扁桃が赤くなったり、扁桃に白い膿が付着します。時に高い熱を伴うことや、頚のリンパ節が腫れることがあります。

 

 急性扁桃炎はほとんどが溶連菌や肺炎球菌、インフルエンザ菌などの細菌で起こりますが、RSウイルスなどのかぜに関連したウィルスで炎症がおこる場合もあります。

 

 6歳くらいまでの子供さんの場合、身体の免疫機能がまだ十分でないため、外からはいってきた細菌やウイルスを扁桃やアデノイド(鼻の奥にある扁桃)あるいは首の周囲のリンパ節で何とか食い止めようとします。

 大人の場合は、身体全体の免疫力が高まっているので、のどで防げなかった細菌やウィルスが身体に入り込んでも、充分対抗できる力を持っています。

 

 子供さんの扁桃炎がひどくなりやすいのは、それだけ扁桃が大事な働きをしており、外からの侵入者に対して一生懸命抵抗力を示しているからです。

 

 小さい子の場合は特に、溶連菌の感染では、皮膚の症状や、時に血尿や蛋白尿などの急性腎炎を起こすこともあるので注意が必要です。

 

 大人になるに従い、免疫能において、扁桃の働きは小さくなってくるため、扁桃はだんだん小さくなっていきます。そして子供時代のような、強い扁桃炎を起こすことは少なくなります。

 一方で、EBウィルスによって強い扁桃炎が起こる、伝染性単核球症やサイトメガロウィルス感染症、梅毒やクラミジアなどの性感染症によって起こる扁桃炎など、子供では見られないような扁桃炎が起こることもあります。

 

 治療としては、原因によっても異なりますが、抗生剤とくにペニシリン系やセフェム系のお薬がよく使われます。ウィルスが原因の扁桃炎には、抗生剤の効果は期待できません。その他消炎鎮痛剤、トラネキサム酸などの消炎剤が使われます。

 


 18歳の方の急性扁桃炎です。タバコは吸われません。分厚い膿が扁桃にぎっしり付着しています。

 扁桃の白いところも、膿(栓)というより小さい白い膜(偽膜)のようになっています。ウィルスとの合併感染が疑われます。


かなり強い扁桃炎です。扁桃のみでなく、咽頭の後壁も真っ赤に炎症を起こし、小さいリンパ組織も累々と腫れています。