急性喉頭蓋炎というのは、声帯の上にある喉頭蓋という蓋の部分の炎症です。この喉頭蓋は食べ物を飲み込む時、倒れて、声帯や気管の入り口を塞ぐ働きがあります。この部分が炎症を起こして腫れる病気です。腫れ方がひどいと、声帯が塞がれてしまい、呼吸ができなくなります。
この病気は2つのことで怖いと言えます。
1.初診時には喉頭蓋炎に気づかないこともある
最初はあまり腫れが強くなく、のどの痛みと、声がれでクリニックを受診されることがあります。通常の風邪としてお薬を処方されたものの、急性喉頭蓋炎があり、帰宅後、数時間して症状が悪化(呼吸困難など)するというケースがあります。
独特の含み声(アヒルの声のようなこごもった声)で喉頭蓋炎を疑う場合は、喉のレントゲン写真や、耳鼻咽喉科では喉頭ファイバースコープを使って、喉頭蓋が腫れていないかをチェックします。聴診器で喉を聴き、狭窄音の存在でこの病気を疑うこともあります。
2.急速に病状が進行する
もうひとつこの病気が怖いのは、短時間で急速に腫れが進行するということです。数時間前まで(喉の痛みはあるものの)普通の状態にいた方が、急に息が苦しくなり、慌てて救急車を飛ぶというケースがあります。
喉頭蓋が強く腫れた状態では、気管チューブを声帯に入れるのは極めて困難です。救急車の中での挿管ができず、病院に到着する前に窒息死してしまうという例も複数報告されています。
緊急気管切開あるいは経皮的気道確保(頚の皮膚を切って直接気管に穴を開けたり、特殊な管を頚の皮膚から直接気管に刺したりする)が緊急時には必要になります。