大きく、1.中枢型睡眠時無呼吸症候群(CSAS)と2.閉塞型無呼吸症候群(OSAS)に分けられます。それらが混じった、混合型もあります。耳鼻科でよく扱うのは後者の閉塞型、混合型です。
中枢型は、脳梗塞、脳炎、奇形を始めとした脳の病気などで見られ、、筋ジストロフィーでも中枢型睡眠時無呼吸が見られることが報告されています。また「オンディーヌの呪い」という名で有名な、(先天性)中枢型肺胞低換気症候群 という病気もこれに入ります。
酸素が足りなくなってきているのに、呼吸を吸うための横隔膜の動きや、胸の拡張ができない状態によって起こります。
閉塞型の場合は、
口蓋垂(のどちんこ)や周囲の軟口蓋が長くたれていて、空気の通り道が狭い
鼻の通りが悪い
寝ている時に、舌が後ろに落ち込んで喉を塞いでしまう
扁桃やアデノイドが大きいため、空気の通り道が狭い
歯のかみ合わせや、顎の形(下顎が小さく後ろに下がり気味の人)が良くない
などで起こります。
このため、耳鼻科的な治療としては、扁桃摘出術や鼻の手術(鼻中隔矯正術、下甲介粘膜切除など)で、空気の通りを広くします。また咽頭形成術という、喉の粘膜に手を加える手術もあります。
その他、歯科にて、下顎が寝ている時に後ろに落ち込まないよう、マウスピース(スリープスプリント)を作成することもあります。
治療としてポピュラーなのはネーザルCPAPという、寝ている時にはめる小型の人工呼吸器です。常に空気を流し喉を広げ、呼吸が停止すると、強制的に空気を送り込む装置です。
睡眠不足からおこる症状
日中眠くなったり、集中力の低下に伴う、学業や仕事の効率の低下が主な症状です。場合によっては、運転中、居眠りによる事故を起こしてしまうこともあります。このように、日常生活での障害が、この病気の中心的な問題です。
一方、睡眠時無呼吸症候群の患者さんが、健康な人に比べ、高血圧、心筋梗塞、糖尿病を起こす頻度が高いというデータが出ています。夜間の無呼吸による胸郭運動の変化や、それによって起こる心臓への負担の増大、血圧に関するホルモンの変化、交感神経の活動の亢進(血管の収縮やインシュリンの分泌低下などが起こる)などが原因と言われています。
子供さんの場合も、喉の上部が狭いと、息を吸う時、胸に負担がかかり、まだ発達途中の肋骨や、胸骨の変形を起こすこともあります。(漏斗胸)
参考文献
・内分泌性高血圧症としての睡眠時無呼吸症候群の病態と治療 :森本玲/伊藤貞嘉 日本内科学会雑誌 2018
・睡眠時無呼吸症候群と生活習慣病 原因か結果か?:山内基雄 日本内科学会雑誌 2019