「目の下や頬がいつもずんとした痛みがある」「頬や歯ぐきの上がはれてきて押すと痛い」という症状があります。しかし手術を受けたことがない「原発性」嚢腫
この病気の多くは、昔副鼻腔炎(蓄膿症)の手術をした方におこります。多くは前回の手術後2-30年して起こると言われています。ただし手術を受けたことのない原発性のケースもまれにあります。
最近の蓄膿症{慢性副鼻腔炎)の手術は、ほとんどが内視鏡の手術で行われます。しかし以前は歯の上ぐの部分(犬歯窩=けんしか)に切開を入れ、そこから粘膜を上に持ち上げ、頬の骨の表面を出していました。ノミなどで骨に穴を開け、頬の部分の副鼻腔(上顎洞)を開け、鼻と上顎洞の交通路を作成するのが、古典的な副鼻腔手術です。
その結果、表面の骨に開けた穴から周囲の皮下組織が上顎洞の中に入り込み、鼻への交通路をふさいでしまったり、交通路の周囲の骨が増殖し、孔が小さくなってしまうことがあります。
こうして上顎洞の中に袋ができ、そこに膿が溜まり、少しずつ大きくなっていきます。これが嚢腫です。
大きくなると、周囲の骨を溶かして行くことがあります。
右の上顎洞嚢腫ですが、眼窩(眼が収まる所)の下の骨を溶かし、眼窩内に入っています。この方の場合、複視(物が二重に見えること)が症状でした。
上顎がんとの鑑別が必要です。