副鼻腔炎の種類 

副鼻腔炎の原因は、アレルギーや、感染(細菌、ウィルス)による炎症で、粘膜が腫れることで、副鼻腔と鼻腔の交通路が狭くなることです。 

 その炎症をおこす原因によって、副鼻腔炎はいくつかの種類に分けることができます。

 

右上顎洞炎
右上顎洞炎

1.急性副鼻腔炎      

 風邪を引いた時に、色のついた鼻水が出て来たり、頬や眉間が痛くなったりします。

  大人の方の場合は、もともとアレルギーなどによる慢性副鼻腔炎があり、そこに最近が感染して悪化した場合もあります。(慢性副鼻腔炎急性増悪)

 

 小さい子は副鼻腔の発達が未熟なので、副鼻腔炎を起こすことは少ないと言われていますが、ひどい場合は目の周りにまで炎症が広がる眼窩蜂窩織炎という病気を起こすこともあります。

2.慢性副鼻腔炎

   一般的によく言われる「蓄膿症」もこれに含まれます。

 

 昔は、近所の友達に、いつも黄色い鼻を垂らしていた子がいたものでした。50歳以上の方なら、ご自分もしくは周りにそんな方がおられた記憶がおありでしょう。

  最近は抗生剤の普及に伴い、こうした化膿性副鼻腔炎の頻度は少なくなっています。その一方でアレルギーに関係した副鼻腔炎や、喘息と関連した副鼻腔炎などが見られるようになっています。

 

 高齢の方や、小さい子供さんでは、抗生剤に対する耐性菌が原因の慢性副鼻腔炎も見られ、治療が難しい症例も見られます。

2枚を合成しています
2枚を合成しています

a)慢性化膿性副鼻腔炎  

   かぜの後の感染状態が長引いたり、臓器移植手術を受けた方や、膠原病、リウマチなどで免疫力を抑える目的で、お薬(免疫抑制剤)やステロイドを使用している方に起こり易い病気です。

 

 感染後の粘膜の腫れによって、副鼻腔への交通路が狭くなることで起こります。色のついた鼻水がでたり、のどの方に流れて来たりします。ただ感染が落ちついている時は白っぽい粘稠の液が溜まっていることもあります。

 

 鼻水を染めると、細菌感染の際に見られる好中球が認められます。

 

 治療については抗生剤や消炎剤、痰を切るお薬、抗ヒスタミン剤を用います。

 また、広く行われている治療の一つに、少量のマクロライド系抗生剤を、長期間用いるという治療法もあります。


b)アレルギー性副鼻腔炎

   アレルギーのある人に見られる副鼻腔炎です。専門的には、この分類や呼び方については議論があります。

   副鼻腔と鼻腔の交通路が、感染やアレルギーによって粘膜が腫れて来ます。膿がたまらず粘膜だけが腫れている状態のこともあります。

 アレルギーにより、ポリープ(鼻茸)ができたり、粘膜の腫れが強くなると、副鼻腔とお鼻の中とに交通が狭くなり、やはり副鼻腔に液が溜まって来ます。

 通常は、透明なサラサラ~やや粘性の鼻水が見られます。細菌に感染すると色がつく事もあります。

 

   抗ヒスタミン剤などのアレルギーのお薬や、ステロイドスプレーなどを用います。ポリープが大きい場合は、交通路を広げ膿を出しやすくするため、ポリープ切除を行うこともあります。


c)好酸球性副鼻腔炎

   これは特殊な副鼻腔炎です。喘息、嗅覚障害、鼻のポリープを伴う難治性の副鼻腔炎が特徴です。

 

   鼻内にポリープがぶどうの房のようにできるため、鼻づまりを強く訴えられます。匂いの低下を訴えられます。ポリープをとって鼻づまりが治っても、匂いの障害は治らないこともあります。

 喘息合併例の方の場合、喘息症状と合わせ、鼻症状がひどくなることがあります。

 

  治療としては通常のアレルギー性副鼻腔炎の治療をベースに、ステロイドの内服薬を比較的長期に一緒に使用します。ただ、好酸球性副鼻腔炎は、高度な副鼻腔炎が多く、手術を行うケースが多い疾患です。

 また、喘息のコントロールが非常に重要です。

 

   副鼻腔炎の手術を行っても早いうちに再発してしまうため、その後の治療に苦慮することがあります。分子標的薬という新しい薬が開発されていますが、治療費が高額なのが問題です。

 

 現在は、指定難病のひとつになっており、基準を満たした患者さんは、長期化する治療費や、高額な治療にたいして、国からの助成が得られるようになっています。