舌下免疫療法の注意点

対象について

  • 原則5歳以上の方が対象です
  • 特にダニについては、薬によるコントロールができていない喘息患者さんへの適応はありません
  • 他の病気(高血圧症、うつ病、心疾患、肺疾患)を持っている場合、使用している薬によっては、副作用時出現時の対応が難しくなることがあり、慎重に実施するかを考慮する必要があります
  • がんで治療中の方も対象になりません
  • ステロイド治療を行っている場合は、免疫療法の十分な効果が得られない場合があります
  • スギ花粉症の場合、飛散シーズン中は、免疫反応が高まっており、アナフィラキシーの危険が高まるため行いません。効果の発現を考慮し、前年11月までの開始が進められます。

副作用について

 特に初めての服用時に、アレルギー反応が出ることがあります。口の中や、舌の粘膜が腫れたり痒みが出ることがあります。

 可能性が低いものの、全身的なショック(血圧低下、蕁麻疹、喘息など)が出ることもあります。そのため、初めて飲む場合は病院内で服用し、30分程度経過観察を行う必要があります。


 ご自宅で飲む場合、口の中の傷や虫歯で抜歯した時などは使用を中止する必要があります。

 

 口の痒みやむくみ(腫れ)、違和感のほか、むかつきや胃腸症状、喘息のようなせきが出るときもありますので、その場合はお休みの上、主治医への相談が必要です。

 

 ダニの舌下免疫療法を行っていた患者さんです。薬使用後に舌の裏~口の底の部分が腫れています。

 症状によりますが、維持量を1段階落とすなどの対応を行います。

治療期間について

 治療期間については、まだはっきりした基準はありません。ダニについて4年間(文献3)や、スギについて最低3年間を勧めている文献があります(文献4)。ただし、免疫療法は、ワクチンと同じで、永遠に効果が続くわけではありません。いずれ効果が切れることがあります。皮下免疫療法では15年以上、継続されている方もおられ、舌下免疫療法についても、こうした長期使用による効果の継続が期待できます。

 

参考文献

1)アレルゲン免疫療法の手引き:日本アレルギー学会 2022

2)スギ花粉症の舌下免疫療法:湯田 厚司 2014

3)Long-lasting effects of sublingual immunotherapy according to its duration: a 15-year prospective study :Maurizio Marogna, J Allergy Clin Immunol. 2010 

4)Disease-Modifying Effect of Japanese Cedar Pollen Sublingual Immunotherapy Tablets:Syuji Yonekura, JACI in pracrice 2021