発症する前に耳の痛み、顔面の違和感、聞こえの異常などが先行することもあります。
ハント症候群の場合、最初は外耳道炎として、治療されていたケースもあります。ハント症候群でも、実際に皮膚の症状(水疱)が出る前に、痛みや発赤のみの時期があるからです。水疱が出ても、全てに麻痺が現れるわけではありません。
顔面麻痺を起こすと、水が口の横からこぼれたり、目がつむれなくなったりするようになります。
麻痺と同時期に起こる症状として、患側の眼からの涙が減ったり、聞こえ方がおかしく感じたり、味覚が低下したりすることがあります。
これは顔面神経が、涙を出す涙腺へ続く枝や、鼓膜の緊張に関係するアブミ骨筋への枝、味覚に関係している鼓索神経という枝を持っているからです。
神経の障害部位を調べるため、涙や味覚についての検査を行うこともあります。
顔面神経麻痺を感じてから、4ー5日間は悪化することがよくあります。
顔面神経は、頭蓋骨の中の細い通路(顔面神経管)を通って、顔の皮膚の下へ出てきます。
ウィルス感染による炎症や、血流障害で神経が腫れると、神経を囲む骨により、更に神経自体が締め付けられ、血の巡りが悪くなります。血の巡りが悪いと、神経自体の腫れがひどくなります。それにより、神経の締め付けが更に強くなります。
このサイクルが続くことで、麻痺の症状が悪化して行きます。
顔面麻痺については、1週間以内、できるだけ早くの治療開始が望まれます。