ご飯の丸飲みは厳禁

 昔から、魚の骨がかかったら、ごはんやパンを丸呑みと言われています。

 しかし、丸呑みしても、そのまま胃に落ちてくれるとは限りません。より奥の場所に再度ひっかかったり、粘膜に深く刺さってしまうこともあります。

 

 写真は、63歳の方の咽頭右側から食道の上方に入り込んだヒラメの骨ですが、かろうじて取ることができました。

 


 ご飯を丸呑みされ、骨が食道まで押し込まれ、なおかつ粘膜に刺さってしまった症例です。内科にて胃カメラにて摘出されました。耳鼻咽喉科の電子スコープで骨が見当たらなくとも、痛みがある場合は、胃カメラで見る必要があります。

 

 こうした症例は、時間が経ち、その部が化膿すると、食道の外側まで感染が広がることがあります。食道周囲に膿がたまる状態となり、縦隔膿瘍(じゅうかくのうよう)を起こします。

 縦隔は、心臓や肺に接しています。縦隔膿瘍の炎症が、更にこうした臓器に広がると、場合によっては、命の危険にさらされることがあります。


のどに骨が刺さってめりこんでしまった
CTでみると骨が舌の根元にめり込んでいます

 ファイバースコープの観察で、どうしても骨が見つからなかったものの、痛みを強く言われるためCTをとった方です。

 

 舌の根元の粘膜下に、魚骨が刺さっています。こういう場合、ファイバー下に取るのは難しく、施設器具のある病院での治療が必要です。


 ウナギなど小さい骨は、見つけるのに難渋します。見つからない場合でも、翌日見直すと見つかることもあります。