咽頭異物(義歯)-2

 下のような、固定するための長い足を持った義歯は、縦向きに飲み込んでしまいがちです。爪の部分が、粘膜に食い込み、口からの摘出がかなり困難かつ、粘膜損傷の危険を伴います。

 このケースは、頸部の皮膚を切開し、咽頭や食道の粘膜を切開の上、外側から摘出されました。


 上のものに似ていますが、足の部分がかなり曲がっており、粘膜への食い込みが強く、口腔からの摘出は困難でした。

 

 そのため、外切開を行い、食道の上の方の粘膜に切開を入れて摘出されました。

 入れ歯の誤嚥は、このように場合によっては、摘出のため、手術ということにもなりかねません。また、咽頭や食道を傷つけると、そこから感染を生じ、縦隔膿瘍という、命にかかわる感染症を起こすこともあります。

 

 義歯の誤嚥を重症化させる要素として、クリスプやリンガルバーなど、固定のための金属の爪や、足の構造が考えられます。

 

 こうした金属の爪や足を使わずに固定する部分入れ歯(ノンクリスプデンチャーなど)があります。見た目の審美性が高いことも利点です。 

 保険診療の範囲ではない(保険外診療)ため、誰にでもお勧めすることはできませんが、ご高齢の方に対しては、誤嚥リスクも考え、検討してみられるのもいいかもしれません。