突発性難聴や、メニエール病、内耳炎など、病気の最中、直後に起こる耳鳴りについては、内耳のダメージによるものが考えられます。
しかし、慢性化した耳鳴りについては、その原因については、はっきりしないといわれています。最近では、慶應大学名誉教授の小川郁先生が提唱された理論など、脳のなかでの興奮が高まることが原因という説が有力となっています。
大脳皮質まで音が伝えられたとき、大きな音が入っても不快になったり、聞き取りにくくならないように、神経は音を伝えると同時に、大脳皮質を抑制する働きを持っています。(前方抑制)また目的の音を雑音からはっきりさせるため、周囲の大脳皮質の興奮を抑える働きもあります(側方抑制)
内耳や聴神経のダメージで音が聞こえなり、脳へ入ってくる音刺激が減ると、この前方抑制と側方抑制がはたらかなくなり、その結果、周囲の神経や、大脳皮質での活動性や活動性が通常より高まります。 その結果、通常では聞こえないような音の耳鳴が発生してしまうということが説明されています。
補聴器の進歩と聴覚医学 / 小川 郁 Audiology Japan 64, 2018の図を元に改変
音響療法はJastreboffによる耳鳴り理論でのこの悪循環を断ち切ることが目的です。