耳鳴の治療

 耳鳴りの治療はなかなか難しく、万人に効果があるという治療はほとんどありません。原因にもよりますが、大きく分けて次のようなものがあります。突発性難聴の際に行う、治療も含まれます。

1.飲み薬による治療

2.注射や点滴による治療

3.中耳への薬液注入

4.星状神経節ブロック

5.  高気圧酸素療法

6.代替医療による治療

7.理学療法

8.心理療法(音響療法、TRT)

 


1.飲み薬による治療

 一般的に、ビタミンB12もしくはビタミンB配合剤+ATP製剤循環改善剤という組み合わせがよく処方されます。。

 

 漢方薬もよく使われます。牛車腎気丸、釣藤散、小柴胡湯、半夏白朮天麻湯、抑肝散、六味丸と言ったところが有名です。

 元となった病気(例えばメニエール病や更年期障害など)により苓桂朮甘湯や加味逍遙なども使われることがあります。

 

 また耳鳴りが精神的なストレスからひどくなりやすいこともあり、抗不安剤パニック障害治療薬抗うつ剤を処方することがあります。眠気や筋肉の脱力感などが出ることがあり、お仕事をされている方などにはご相談しながら処方します。

 

 またカルバマゼピンという抗てんかん薬を処方することもあります。とくにカチカチ音など、鼓膜を中心にした中耳の筋肉(鼓膜張筋、アブミ骨筋など)や、耳の周りの筋肉が痙攣することで生じる耳鳴りに効果があります。

 

2.注射、点滴

 耳鳴りが強い時には局所麻酔薬/不整脈治療薬のリドカイン{キシロカイン)の静脈注射が効果があることがあります。

 短期的な効果は多くの方に見られますが、持続性が高くないため(数時間から1日程度しか効果がもちません)、定期的に繰り返し注射を行っていくことが必要になります。

 

 またプロスタグランディンE1というお薬も耳鳴りに効果があると認められています。点滴で投与しますが、血管炎で点滴中に痛みを感じる方がまれにおられます。効果も期待できますが、薬剤の値段が高いのが欠点です。

 

3.耳内への薬液注入

 前述したようにステロイドホルモン剤を、鼓膜経由で直接中耳腔から内耳へ注入する治療もあります。(鼓室内投与)

 ステロイドの鼓室内投与は、突発性難聴で行われますが、合併症として鼓膜穿孔をおこすことがあるので注意が必要です。