がま腫の治療 -手術とOK432注入療法-

 がま腫の治療は大きく分けると、手術による治療法と注射(OK432注入療法)の2つに分けられます。手術にも、小さい手術から、全身麻酔が必要な手術があります。

 

切開や穿刺(針をさしてたまった液を抜く)

 お口の中や、顎の下の表面に近いがま腫の場合、中に溜まった唾液を注射器で抜くことで一旦小さくなります。ただこの方法では、時間が経つとまだ膨らんできます。後述のOK432注入療法を続けて行うことが増えています。


がま腫本体の摘出

 口の中に限局した、小さいがま腫ならば、大人の方なら局所麻酔でも摘出できます。

 しかし、大きいものになると、唾液管や、舌を動かす神経のそばまで操作することもあるので、場合によっては全身麻酔で行うこともあります。小さい子供さんの場合も全身麻酔で行われます。

 

 首の方にできたがま腫の場合、外側から皮膚を切開し、がま腫本体と、場合により、舌下腺、顎下腺を摘出します。大きいものや、複雑な形をしたがま腫は、完全摘出ができないと、残った部分が再度腫れてくることがあります。


造袋術

 半熟卵の頭の殻をスプーンで割って、開いて食べることありますが、造袋術はこのイメージに似ています。

 口の底の粘膜を切開し、がま腫の上方に切開を入れ、粘膜と袋の壁を縫合して、直接口の中への排泄口を作る方法です。大人であれば、局所麻酔で行います。時に時間とともに塞がってしまい、再度腫れてくることがあります。


OK432局所注入

 首や顎にできたがま腫の場合、外側から皮膚を切って袋を取り出すことが今まで多く行われていました。しかし皮膚に傷が残ってしまうことや、完全摘出ができない場合もあるのが欠点です。最近は、OK432(ピシバニール)注入療法を行うことが多くなって来ました。


   この治療は、日本で荻田、深瀬先生により考案された方法です。  OK432はもともと、気胸という病気の治療に用いられた薬です。

 

 袋に注射針を刺し、内部の唾液を吸引し、OK432を注入します。

 Ok432の効果ははっきりしていないところもあるものの、局所での炎症を起こし、嚢胞への唾液の流入を抑えることで、がま腫を自然に小さくしていくといわれています。

 大きい物の場合は、1回の治療で不十分なこともありますので、何回かに分けて注入します。

いくつかの注意も必要です。


1.OK432の注射をすると、そこに炎症が起こります。

   口の中のがま腫の治療は良いのですが、首や顎の袋では炎症が広がり、喉が腫れ、呼吸困難になることがあります。そのため、場所によっては、経過観察のために入院が必要なこともあります。

 処置の後、熱が出たり、局所の痛みを感じることがあります。


2.大きい袋の場合は、OK432注入では治療が難しいことがあります。

  首に出来た大きい袋の場合は、なかなかこの治療が効果が上がらず、結局、後に手術になることもあります。しかし小さくならなくても、それまで繰り返して大きく腫れていたのが、この治療後に固くなり、腫れなくなることもあります。