扁桃周囲炎、扁桃周囲膿瘍は、扁桃の周りに炎症が及ひ、様々な症状が出ます。
下顎の動きに関係する、翼突筋という筋肉は扁桃のすぐ近くにあり、炎症が広がると、まず口が開けにくくなります。
扁桃のそばには、首の脂肪組織や筋肉の間にある隙間があります。その隙間に膿が溜まりやすく、膿瘍を作ります。こうして炎症が口より下、首のほうまで進むと、痛みだけでなく、発熱、呼吸苦などの危険な状態に陥ります。また菌が体を回って敗血症などを起こすと命取りになることもあります。
70歳代の女性の方です。糖尿病始め、喉の左側が痛くなり、近くの病院で扁桃周囲膿瘍と診断されました。
開口障害と、首の左側が赤く腫れていました。
血液検査では、炎症の指標となるCRPが20.0以上(通常のかぜは1.0‐2.0)と極めて高い数値となっていました
CTにて扁桃周囲膿瘍のほか、扁桃周囲からから頸の筋肉と、喉頭の軟骨の周りに膿が溜まっていることがわかりました。
首の膿瘍は、下方に広がると、心臓や大きな動静脈がある縦隔の炎症(縦隔炎)を起こします。縦隔炎は場合によっては命取りになる危険な病気です。
こういう場合は、首の外側から切開を入れ、膿を出すドレナージ術が必要です。入院手術ができる施設での治療が必要となります。