咽喉頭異常感症の実際

体のつくりが原因のこともあります

 実際の検査で異常が見つからなかった方でも、全く器質的な(形の異常をともなった)原因がないとは限りません。

 

例えば
1.舌の根元の舌扁桃が大きい
2.喉頭蓋がそって舌の後ろにあたっている
3.首の骨の形が普通と異なっている
  といった喉の形の問題で症状が出ることがあります。

 

 もちろん、こうしたことは急に起こったことではありません。以前は気にならなかった、こうした喉の形が、ストレスや不安をきっかけに気になりだしたということでしょう。

 

 また、唾液の分泌が少ない方も、喉の違和感は通常より出やすくなります。前述したように、鼻水の流れ込みが喉を刺激していることもあります。

 

  下の写真の方は飲み込む時、こする感じが続くとのことで来院されました。電子スコープで見ると喉の後方が盛り上がっています。スコープの先端で見ると硬そうです。

 レントゲン写真で見ると、首の骨(頸椎)の前方がとげのように変形(骨棘)しているのがわかります。これは生まれつきではなく、年齢とともに出てきたものですが、気づいたのが最近になってということでしょう

 こちらは、飲み込む時に、喉の左側に違和感と痛みがあるとのことで受診された方です。 MRIや胃カメラを受けてこられたものの異常がありませんが、喉の奥を指で触ると左側に特に硬い突起が触れました。CTで茎状突起過長症という診断です。

 茎状突起は誰でも持っている、動物で言うと牙のような骨の突起ですが、これが生まれてから成長するうちに、片方あるいは両側、より長くなったものです。

 この方はご年配の方ですが、何かのきっかけでこれが気になるようになったものと思います。CTの写真をお見せしご説明すると、1‐2ヶ月で症状は気にならなくなったとのことです。

 ただし、痛みが強く、続くようであれば、手術で粘膜を切って、突起の先端を切り落とすこともあります。

 

ストレスやがんへの不安が引き金

 周囲にがんの方がいらっしゃったりすると、「自分もがんじゃないだろうか」「がんになるのではないだろうか」という不安を持つのは当然の反応と思います。特にのどや食道のがんなどであれば尚更でしょう。タバコやお酒をよく飲む方だと、潜在的にがんへの恐れを持っていることもあります。


 また忙しく休みが取れない、イライラ感が激しくなったり等、ストレスが溜まることが、こうした異常感を引き起こすことがあります。のどの知覚は非常に敏感ですので、異常感というのが非常に出やすいのです。妊婦さんなどでも同じような理由で症状が出ることがあります。

 

治療法

 本当の意味での咽喉頭異常感症には、色々なアプローチがあるかと思います。異常のないことを十分理解していただけると、症状もすっと消えてしまうこともあります。しかし、どうしても症状が取れない方がおられます。


 お薬を処方する場合は、漢方薬がよく使われます。半夏厚朴湯、麦門冬湯、加味逍遙散などが有名です。うがい薬も効果があります。

 やむを得ない場合は、エチゾラム(デパス)、ロフラゼプ酸(メイラックス)などの不安を和らげるお薬の中で比較的弱いものを処方することもあります。


 タバコを吸っている方は一時的に控えていただくのをお勧めします。もしストレスになるようなものが明らかな場合は、それを解決していただくことも大切です