慢性中耳炎とは

急性中耳炎と慢性中耳炎の違い

 慢性中耳炎、急性中耳炎という言い方があります。「慢性」という名前がつくとずっと中耳炎が続くような印象ですが、実際はそういうわけではありません。
 急に耳が痛くなったと、長く膿が出続けるような中耳炎はむしろ「遷延性中耳炎」という言い方でよばれます。一般的に慢性中耳炎は「感染によっておこった急性中耳炎などの後になどにより、長期間穴が開いた状態」とされます。
 ですから膿が出ない状態でも、鼓膜に穴が空いていれば広い意味では慢性中耳炎ということができます。


実際の慢性中耳炎は2つに分けられます


1.単純性慢性中耳炎
  単純に鼓膜に穴が開いている状態です。急性中耳炎で鼓膜が破れて膿が出たあと、塞がらなかったり、滲出性中耳炎でチューブを入れ、抜去後に残った穴が塞がらない場合などに起こります。鼓膜に穴が空いていることで、聴力の低下や、感染(穴が空いているので痛みはなく、膿が出てくるのみ)を起こします。


2.真珠腫性中耳炎
 これは特殊な中耳炎で、子供さんだけでなく大人の方にもよく見られます。感染により膿が出るだけでなく、痛みを伴うことがあります。耳垢が巨大化したような真珠腫という、腫瘤を作ります。周囲の骨を侵食していき、時には内耳を破壊し、めまいを起こしたり、時に頭蓋骨底を破り髄膜炎の原因になったりします。

写真は(左)単純性慢性中耳炎です。若干、感染があり、湿った状態になっています。右は真珠腫性中耳炎です。鼓膜が陥凹しており、右上に、白い真珠腫ができています。