ムンプスとは、流行性耳下腺炎(いわゆるおたふくかぜ)を指します。
ムンプス難聴とは、流行性耳下腺炎いわゆる「おたふく」になった際に起こる重篤な難聴です。
おたふくはムンプスウィルスでおこりますが、これが耳の奥の内耳の炎症を起こし、その結果めまいや聴力の低下を起こします。
多くは大人になってかかったおたふくかぜから起こりますが、小児で起こることもあります。
聴力低下は多くは高度難聴のことが多く、また聾(全く聞こえなくなる)になることもあります。幸い、ほとん片方だけの難聴です。(これは風疹による難聴が両側性が多い事との違いです)
一般的な中耳炎から進んだ内耳炎により、難聴を起こすことがありますが、残念ながら、このムンプス難聴と風疹による難聴は、それらに比べると、治療にに対して抵抗性です。特にほとんど聞こえなくなってしまう聾型はほとんど改善効果が見られないのが大半です。
残念ながら、ムンプス難聴の多くは前述のような聾型を含め重度の難聴を起こしていることが多いのです。突発性難聴といった急に聞こえが悪くなる病気に比べても、治療が非常に難しい病気です。
治療は突発性難聴に準じてステロイドなどを使用します。感染状態が強い時にステロイドを使うのは躊躇することがありますし、効果が限定的なところはありますが、早めの治療が大切なのは間違いありません。
もう一つ大事なことがあります。不幸にして片方の耳の高度難聴が残った場合、5-20年ほどの長い期間が経って、めまいを中心としたメニエール病に似た症状が起こることがあります。遅発性内リンパ水腫といわれる疾患です。内耳の状態がメニエール病と同じような内リンパ水腫という状態になります。治療もメニエール病に準じて行います。