潰瘍を作る口内炎


アフタ性口内炎

アフタ性口内炎 繰り返す場合もあります

 アフタ性口内炎は細菌の感染によって起こりますが、舌や頬の粘膜をかんでしまったなどの傷からおこることもあります。

 

 口の中は完全清潔というわけではなく、弱い細菌が常に存在しており、虫歯や歯周病など不衛生な状態になりやすいところです。

 体の抵抗力が落ちた状態(たとえばカゼを引いていたり、過度のストレスや、睡眠不足など)に特に起こりやすくなります。

 偏った食事で、ビタミンB2などが不足している方にも見られます。

 また胃が荒れている方など、消化器の病気を持っている方におこることもあります。

 

 アフタとは簡単に言うと小さい潰瘍です。写真のように、白い薄い膜が表面にかぶった小さい潰瘍ができます。周りが赤い炎症の状態になっています。

 通常1個のことがほとんどですが、同時にいくつかできることもあります。

 

 口内炎を繰り返して起こす方がおられます。いくつも同時にアフタができることもあります。こういう口内炎は反復性アフタ性口内炎や、再発性アフタ性口内炎などと呼ばれなす。お口の中の慢性的な免疫力の低下や、細菌感染、歯などの器械的な刺激が原因としてあげられていますが、はっきりしたことはわかっていません。遺伝的な要素があるとも言われています。

 

 治療法としては、ビタミン剤や炎症や痛みを抑える内服薬の他に、口の中に使うステロイド軟膏や、ステロイドパッチ剤(表面に張ってしばらく加えておく)を処方します。

 痛みの強いアフタ性口内炎に対しては、内服のステロイドホルモンを短期間処方し、炎症を抑えることもあります。

 また治りを早くするために、硝酸銀などの薬剤で、口内炎の表面を化学的に焼くことも耳鼻咽喉科ではよくされています。

 通常、1週間程度で治ることがほとんどです。

 但し、周囲が硬いアフタ様の口内炎が、長く続くようであれば、腫瘍の可能性も否定できないので注意が必要です。

 

 


難治性口腔咽頭潰瘍

 28歳の男性の方ですが、舌にアフタがいくつもできなかなか治らない、同時に喉の痛みもあるとの訴えで受診されました。口の中に数個の深いアフタが認められました。

 さらに喉の方を見てみると、舌の根元にもアフタやそれより大きく深い潰瘍ができていました。アフタの一部をかじって組織検査をしたり、胃カメラや大腸ファイバーなども行いましたが、はっきりした異常は認められませんでした。

 難治性口腔咽頭潰瘍は、再発性アフタ性口内炎に似ていますが、同時にくりかえしアフタや、より大きい潰瘍を起こす病気です。再発性アフタ性口内炎と違い、自然に治りにくいことも多く、治療をしないと1ヶ月以上症状が続くというのが病気の特徴とされています。また治っても硬い瘢痕(はんこん)のように跡が残ることもあります。

 若い方から高齢の方までみられます。

 

 再発性アフタ性口内炎と違って、口の中や舌だけでなく喉の奥にまでアフタや潰瘍を作ることもあります。そのため最初は喉の痛みで病院を受診されることがあります。

 

 この病気についても原因はよくわかっていません。ただしベーチェット病を始め、潰瘍性大腸炎や、クローン病などの消化器の病気でも同じように、口やのどの症状が出ることがあります。最初の症状から長い期間経って、口やのど以外の症状が認められるようになり、診断がつくこともあります。また、同等の自己免疫の病気である、ANCA関連血管炎や、天疱瘡類天疱瘡の一部にも、口の中の潰瘍が見られることかあります。

 


その他の口腔潰瘍

76歳の類天疱瘡に見られた粘膜病変です。この方は、口内炎より、むしろ咽頭、喉頭の潰瘍が目立っていました。

 治療としては、ステロイド剤の使用が中心となりますが、原因となる病気が判明すれば、それに応じて免疫抑制剤などが使用されます。