治りにくい中耳炎が起こる背景

 小さい子の中耳炎が難治化するのはいろいろな背景があると考えられています。

   

 まず生まれたての赤ちゃんは、お母さんからもらった抗体が、感染から身を守ります。ただこの抗体は6ヶ月程で消えてしまいます。自分で充分な抗体が作れるようなるになるのにそれから1年以上かかります。ですから6ヶ月から1歳半過ぎまでは感染に対して弱い状態、抵抗力としてポケット状態となります。

   母乳の中にもこの抗体が含まれており、母乳保育の方がより赤ちゃんの抵抗力が増すと言われています。

 

   また最近は小さいうちから保育園に預けられるケースが多いので、小さい子同士の接触で、ピンポン感染が起こりがちです。また大都市ではマンション、アパートなどでの生活も多く、兄弟間のピンポン感染も起こりやすくなります。

 極端にいえば、病気の子供さんと元気なお子さんは別々ににする隔離保育がいいとさえ考えられます。

 ただ現在の社会ではご両親共々働いておられる事が多く、住宅事情も決して昔ほど恵まれていないため、こうしたことから逃れるわけにはいきません。

 ですから手洗いをしっかりさせることや、風邪を引いたら早めの治療をするなどの対応が必要だと思います。

   

 中耳炎に初めてかかるのが早い子は、難治化する例が多いとの説もあります。

 

   以前より数多くのお薬が出てきたこともあり、抗生剤を使う機会が多くなってきていることが、難治化させている原因の一つといえます。

 長く抗生剤を使って行くことで、薬に対する抵抗力が出てきます。特に中耳炎に多い肺炎球菌、インフルエンザ菌の薬剤耐性菌は大きな問題です。

 これは使う医者側にも問題もあります。適切な抗生剤を使うため、中耳炎治療ガイドラインが作成されています。軽症の中耳炎には抗生剤の使用を控えるというのも一般的となっています。

   保護者の方が、抗生剤をつかわないと不安に思われることが時々ありますが、軽症の中耳炎はウィルスが関与する例も多いこと、こうした軽症では抗生剤の使用が治り具合と関係しないという実際のデータもありますから、ご理解いただければなと思います。

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