気管支異物のおこる背景

   小さい子は飲み込み力も弱く、食べ方もゆっくりです。
 大きな音にびっくりして、息を吸ってしまったり、むせて咳き込んだ時に、小さい塊なら気管の中に吸い込んでしまうことがあります。
   小さい子に豆類を食べさせてはいけないというのは、多くの方が知っています。しかし、実際には少ないながらも、気管支異物の患者さんが救急病院に運ばれてきます。ではどうして飲み込ませてしまうのでしょうか。
   大体以下の様な背景があるようです
 
1 豆類を与えれはいけないことを知らなかった
 
2 落ちていた、あるいは放置していた豆類を勝手に食べてしまった
  豆まきの後に落ちていた豆、たまたまテーブルに置き忘れていたお菓子を口に入れてしまう等。子供は何でも口に入れたがります。食べ物にかかわらずプラスチックの部品、小さいキャップなどを口に入れ、誤って気管に詰まらせる子もいます。
 
3 柔らかいから大丈夫と思った
  意外に多いです。しかし十分煮た豆でも、ときにはりんごのかけらでも、気管支異物の原因に十分なります。
 
4 ついあげてしまった
  おじいちゃんおばあちゃんが、膝の上のお孫さんに与えたり、晩酌中の大人がついおつまみをあげてしまったり。ちょっとした気の緩みが、大変なことになります。
 
 気管に入った異物は、左右に気管の分岐した近くに落ち込むことが多いのですが(教科書的には右が多いとされています)、分岐部の手前に詰まると、窒息死の危険があります。病院で早急の摘出が必要です。

 1歳2ヶ月の子供さんです。

 大豆を煮たものを食べているとき、急に咳き込んだそうです。その後、咳が続き、翌日になっても続くため、近所の小児科を受診、左肺の気管支異物を疑われました。

 

 レントゲンで、左側の肺が広がっており(過膨脹)空気が入っているため、透過性が亢進しています。左肺の入口近くで、気管支が閉塞している所見です

 CTで、左肺に異物がみとめられます。

 臘日、気管支直達鏡手術が行われ、左気管支に詰まっていた豆を摘出することができました。

 

 このように、柔らかいものであっても、気管支の中に入れば、異物として呼吸に影響がでます。

 また、この方のように、咳が続くからといって来られた方に、よくお話を聞いてみて初めて、誤嚥(誤って飲み込むこと)がわかることもあります。