急性喉頭蓋炎の原因と治療

 急なのどの痛みと、こごもったような声、そして食べ物のみでなく、お水さえも飲めなくなる病気、それが急性喉頭蓋炎です。

 

 喉頭蓋と言うのは声を出す声帯(これは気管の入り口に当たります)を覆うように存在する蓋の部分です。風邪の症状が先に出ることが多いのですが、いきなり症状が出ることもあります。

 

 原因としてはヘモフィルスインフルエンザ菌b型(インフルエンザウィルスとは違います)という細菌が多いとされており、子供から成人に起こります。

 特にヘビースモーカーの方や、糖尿病、免疫抑制剤の治療を受けている方などはかかる危険が高くなります

 

 解剖学的に、喉頭蓋は血液の流れがあまり良くないので、炎症などで容易に粘膜が水っぽくなり、強く腫れやすい性質があります。

 


 下の写真は典型的な急性喉頭蓋炎です。

 

 この症例は喉頭蓋の炎症だけでなく、声帯の周りの披裂部という「枠」の部分も腫れてしまっています。声帯の方へ続く道が非常に狭くなっていることがお分かりいただけるかと思います。

 

 これぐらい強いと、レントゲン写真でも診断がつきます。喉頭蓋が団子のように丸く腫れていることがわかると思います。


治療法

治療法としては

1.必要であれば気道確保(予防的な気管切開を行います。)

 

2.抗生剤およびステロイド(炎症と粘膜の腫れをひかせる働きがあります)の点滴

 

3. ネブライザー(吸入治療 ステロイドと粘膜を収縮させるアドレナリンを加えた薬剤を吸入します)

 

が挙げられます。

 

 軽症であれば4-5日で改善します。しかし、重症(気管切開が必要なほど)で糖尿病などの基礎疾患がある場合、2週間以上、治療にかかる方もおられます。

 

 近くのクリニックで急性喉頭蓋炎と診断され、病院への受診を勧められた時は、できるだけ早く受診してください。家に帰って着替えの準備を、としている間に悪化して窒息するケースすらありますので、注意が必要です。


 この病気の場合、喉の痛みが(特に飲み込む時)強い傾向があります。また飲み込みが殆どできず、唾さえも吐き出さざるを得なくなることもよくあります。

 更に先ほどお話しした独特の含み声(かすれるというより、こごもった感じの声)が特徴です。

 こうした症状があれば直ぐに、できれば喉の中を確認してもらえるような病院、クリニックを受診されるのがいいと思います。