喉頭がんの治療

 がんは腫瘍の大きさによって4段階(T分類と言います)に分類されます。もちろん治療法にはその施設によって多少の差がありますが、一般的にはT1,T2のがんについては放射線治療あるいは放射線治療+抗癌剤化学療法が行われます。場合によっては放射線治療でなく周囲粘膜を含めて腫瘍を切り取ったり、レーザーで粘膜を焼灼する手術を行うこともあります。

 放射線治療の場合、方法は多少違いますが、大体6週間から7週間の治療期間になり外来通院での治療も可能です。ただ放射線により、正常の粘膜も障害を受けます。喉が次第に痛くなり、時に食事ができなくなるくらい強い痛みになることもあります。その場合は短期間の入院を行うこともあります。一方、抗癌剤の治療を一緒に行う場合は、入院での治療が含まれる場合がほとんどです。

 放射線が終わっても、治療による炎症が残り、声帯が腫れたりすることで、声がれが残ったままになることもあります。

 また放射線は同じ場所に当てられる量は決まっています。そのため不幸にも再発してしまった場合は、手術になります。小さいものであればレーザーを用いた手術、少し大きい物になると部分切除術、あるいは進行している場合は喉頭をすべて取る喉頭全摘術が行われます。


 この方は左の声帯のT2の方です。最初の症状は声がれと、喉の痛み、少しの血痰でした。左側が初診時の写真です。

 通院で放射線治療(月曜~金曜)と内服の抗癌剤の治療を行いました。

 5週間経過した時点(右の写真)で、腫瘍はほとんど消失しており、非常に良い効果を見ることが出来ました。

 少し声がまだかれていますが、以前より出しやすくなったと言われています。


 T3になると声帯の動きが悪くなった状態で、T4は喉を形作る軟骨の外まで腫瘍が広がっている状態です。こうした場合は手術が選択されます。ただし、患者さんの希望やがんの状態によっては手術を選択する前にまず抗癌剤や放射線治療をう場合もあります。ただしこれは限られた症例で、多くは手術で喉頭をとってしまう喉頭全摘術を行います。また周囲のリンパ節に転移を起こしていることもありますので、頚のリンパ節を広範囲に脂肪とともにとってしまう頸部郭清術を一緒に行うこともあります

 喉頭をとってしまうと、いわゆる普通の出し方で声をだすことはできませんが、代用の発声方法はいろいろあります。コミュニケーションが取れなくなるわけでは決してなく、手術のあともお仕事をされている方もたくさんおられます。(私の患者さんでも居酒屋をやっている方や、会社にそのまま勤められていた方もおられます)

 

 ですから、進行した喉頭癌であっても手術後のことを過度に心配されず、前向きに治療に取り組んでいただければと思います。