副鼻腔炎の手術療法

   副鼻腔炎の治療の最終的な方法はやはり手術ということになります。副鼻腔炎はお鼻の中(鼻腔)と副鼻腔の間の交通路が、周囲の粘膜の腫れ(これは感染やアレルギーによって起こります)やポリープによって塞がることで起こります。稀に腫瘍によって閉塞しているケースもあります。交通路が閉塞すると、副鼻腔からの分泌物が排泄されず、内部に貯留する状態になります。

   手術はこの交通路を閉塞させているポリープや、腫れている粘膜を除去するのが目的です。現在は殆どの手術は内視鏡によって行われます。手術は局所麻酔でも行えますが、全身麻酔の安全性の向上もあり、こちらを希望される患者さんが多いかと思います。両側の手術を一度にやることが多いのですが、外来日帰り手術では、片方づつ日を変えて行うこともあるかと思います。
副鼻腔炎 内視鏡手術 

 副鼻腔の手術の目的は、上記のようにポリープや晴れた粘膜を除去し、副鼻腔(4つあります)をお鼻の腔と十分な交通をつけることです。写真は手術の後2ヶ月の方のお鼻の中の様子です。

 

 それぞれの交通路をできるだけ広くし、篩骨洞、(蝶形骨洞)、上顎洞、前頭洞が大きく一つの腔になるのが理想です。

 


手術の合併症

  鼻腔、副鼻腔はその隣接する部位に眼と脳がありますので、影響が出るのもこれらが中心となります。

出血

輸血が必要になるほどの大出血は稀です。ただもともと貧血気味の方などは場合により重症の貧血を起こす危険もあります。

   もっと問題なのは眼窩内出血です。目の内側の篩骨洞の天井の方には小さい動脈が存在します。この動脈は眼球は収まっている眼窩内をとおり篩骨洞内に入ります。手術操作によってこの動脈が切れ、稀に眼窩内に引っ張り込まれてしまうことがあります。そうすると眼窩内に出血が起こり、その血液の溜まりができます。

  あるいは術後、眼窩の内側の骨壁の小さい亀裂から、篩骨洞で起こった出血が眼窩内に流れ込むこともあります。軽いものでは目の周りの皮下出血ですみますが、稀に目の神経を血腫が圧迫し、視力障害や、視野の異常を起こすことがあります。不幸にして後遺症を残すこともあります。

感染

眼窩と篩骨洞の間に比べると、天井の脳との間は硬く厚い骨です。しかし稀に一部がもともと薄い骨の部分があったり欠損している場合が  あります。ここを経由し、頭蓋内に感染を起こし脳炎や髄膜炎を起こすことがあります。頭痛や発熱、症状が進むと意識障害などを起こします。
  
   重症な合併症は上記の2つですが、頻度として多いわけではありませんから、過度に心配される必要はありません。ただし良く手術前に先生のご説明をお聞きになってください。