突発性難聴の治療

 突発性難聴の治療としてはたくさんの治療法があり、それらを組み合わせて治療します。

 

   代表的な治療にステロイド療法があります。ステロイドを内服または点滴で、数日ごとに減らしながら投与する方法です。その他、ビタミン剤、循環改善剤などを一緒に使います。

 

   ステロイドはやはり副作用が問題です。

 胃潰瘍の既往がある方や糖尿病の方は病状の悪化の可能性がありますので注意が必要です。

 また緑内障、ワーファリンを使っている方、最近がんの治療をした方、精神的な病気(例えばうつ病など)もステロイドにより病状の悪化や、薬の副作用が強くなることがあるので、必ず先生におっしゃってください。

 

 その他特殊な治療については以下のようなものがあります。

 

お薬の治療

1 ラシックスビタミン療法    ラシックスというのは尿をだしやすくする薬で、元々腎不全の方に使われます。

 ラシックスと抗生剤などを一緒に使うと難聴が起こるケースがあり、ラシックスが内耳へのお薬の取り込みを促進させ抗生剤による内耳障害が起こっているのではないか考えられています。それを逆手にとって、耳にとって役立つお薬をラシックスと一緒に入れることで、吸収を促すという治療です。

 

2.循環改善剤

 注射であれば低分子デキストラン、飲み薬であればカルナクリン、ケタス、サアミオンなどが使われます。

 

3.プロスタグランジンE1   耳鳴りの治療にもよく使われるホルモン剤です。血管を広げ血流を良くする働きがあります。

 

4.デフィブラーゼ  

 血液の粘度を下げて血流を良くする働きがあります。

 ただし出血傾向が増すため、重篤な合併例が報告されており、脳出血の既往がある方や、血液の病気のある方は十分な注意が必要なお薬です。

 

4.ウログラフィン

 造影剤であるウログラフィンを注射することで聴力を改善する治療です。作用については難しいので省きますが、突発性難聴の発症のメカニズムと密接に関係した治療法と考えられています。

 しかし現時点では突発性難聴に対しては保険適応がなく、一般の病院での治療は困難です。

 宮崎医科大学(現宮崎大学医学部)で始められた治療で、現在も効果について学会での報告検討がされています。

 

お薬以外の治療

1.星状神経節ブロック    

 首の動脈のそばにある星状神経節(これは自律神経の一つ、交感神経の中継点です)に局所麻酔剤を注射し、交感神経を麻痺させ、首の動脈、さらに内耳への血流を増加させます

 

2.高気圧酸素療法  

 カプセル内に入り、1.5ー2気圧の高い圧をかけた純酸素を約1時間吸入する治療です。血液の中に通常の7ー8倍の濃度の酸素が溶け、内耳への酸素供給量を増やし回復を促します。

 但し肺の病気(例えばタバコの飲み過ぎで起こる肺気腫)がある方や、閉所恐怖症の方はできない場合があります。

 

3.混合ガス吸入療法  

5%の二酸化炭素と95%酸素の混合ガスをマスクにて吸入する治療です。血の巡りをよくすると同時に、血液中の酸素濃度を増加させると言われます。

 

4.鼓室内ステロイド注入療法  

 鼓膜に細い針をさしたり、小さいチューブを鼓膜に入れたりして、鼓膜の奥の中耳腔にステロイドを注入する治療です。中耳から内耳へ直接取り込まれます。

  適応としては

 ・ 重度の糖尿病、その他の病気によりステロイドの使用ができない方

 ・ ステロイドの全身投与など一通りの治療終わったが、回復が芳しくない方

の2つになると思います。

  

 ただし注意しなければならない合併症があります。それは鼓膜に針を刺したところがだんだん大きくなり、やがて大きな穴になってしまうことです。ステロイドにより感染しやすくなるため、中耳炎を起こす方もいらっしゃいます。穴が開いてしまうと、なかなか自然閉鎖しにくいのです。

 私自身もこの治療を行っていますが、鼓膜に穴が開く危険性については、必ず治療前に患者さんにお話しするようにしています。